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お気に入りのポイント 泉質・外湯・温泉文化・鄙びた風情・無料
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18の外湯めぐりは、3カ所限定に。
草津温泉には18の共同浴場が存在し、地元の方が維持管理されている本来は地元の方向けの浴場だ。しかし、「もらい湯」という温泉文化があるので、観光客にも無料で開放されている有難い共同湯であった。
完全無料で外部の者が入浴できるのは、この草津温泉と長野の野沢温泉くらいであろうか。
宿泊すれば、その地域の共同湯や外湯に無料で入浴できる温泉地もいくつか残ってはいるが、有難い昔ながらの温泉文化が続く地域は着実に減ってきている。
残念ながら、草津温泉もその一つになってしまった。
度重なる外部利用者のマナー違反や地元の方とのトラブルなどにより、3カ所以外の共同湯には外部の人間は入ることが出来なくなってしまったのだ。
従来よりその懸念があったのだが、ついに現実のものとなってしまったのは至極残念だ。
これ程の数の外湯に無料で入れる温泉地は他に無かったことだけでなく、もらい湯の文化が通用しなくなってしまったこと自体が、文化の破壊行為と感じられるのだ。
しかし、外部の者が入浴出来なくなっただけで、地元の方の共同湯は快適な状態で維持されていることを考えると致し方ないことと割り切るしかない。
この記事では、2008~09年にかけて巡った外湯のレポートをし、それぞれ個性的な外湯の有難みを噛みしめて大切な記録として残したい。
外湯めぐり1 【3つの一般入浴可能な共同浴場・湯畑周辺1】
2023年現在、上記のとおり観光客が入浴できる共同浴場は3カ所に限定されてしまっている。
入浴可能なのは、白旗の湯・地蔵の湯・千代の湯となっている。
まずはその3か所から紹介したい。
ただし、白旗の湯は私が訪問した後にリニューアルして新しい施設に代わっているので、以前の昔ながらの風情を残した古い白旗の湯をご覧頂きたい。
1/18.白旗の湯(2009年の湯小屋)
湯畑近くに個性的な、塔のような造りをした木造建築が白旗の湯(しらはたのゆ)だ。
非常に個性的なその造りは、中に入ると湯気が抜けてゆく構造になっていることに気づく。
入口から脱衣所、そして、浴場そのものが木造で大変趣のある素敵な湯小屋だった。
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実に秀逸な風情だ。極上の湯を風情豊かな歴史を感じる湯小屋で堪能できる私にとって草津で最高峰の場所だ。
湯舟の縁部分が温泉成分で白くなっているところがまた素晴らしい。
脱衣所に入ると、すぐに2つの浴槽が見える。もうこれだけでワクワクが止まらなくなる。浴槽と床が木造で、そこに湯がかけ流されている光景は本当に素晴らしい。
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右側の樋を伝って高天井浴槽に湯が注がれている。
この樋も温泉成分で白く染まっている。この渋さは時間経過ゆえだ。
源泉:白旗源泉
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉 pH2.1
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津112-1(湯畑の前)
営業時間:5時~23時
料金:無料
※リニューアル後に湯小屋は変化したが、依然木造であり、浴槽は2つあるとのこと。
2023年12月時点の情報
2/18.地蔵の湯
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こちらも名湯の誉れ高い地蔵源泉を引いた地蔵の湯共同浴場だ。
湯畑からも歩いて5分程なのでとても行きやすいロケーションだ。
私が訪問した2008年は、湯小屋のリニューアル間もなかったのか、まだ真新しいものだった。
湯小屋の構造自体は伝統的な造りだが、当然真新しい木が使われており、歴史を感じるような風情は消え去っていたのが鄙びた風情好きとしては残念だった。
しかし、これも時間の経過とともに素敵な雰囲気を帯びて行くのであろう。
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浴槽は長方形のものが一つだけあり、広い空間の中に脱衣スペースと浴槽スペースが仕切りなく存在しているのが特徴だ。
浴槽の縁は木製だが、湯舟自体は石という造りなので、そこは少し物足りない感じがする。総木造りの浴槽の柔らかみのある感触はやはり魅力的だ。
湯は透明だが、白旗源泉と比べるとやや白みがかっているように見えた。
色に関しては、条件によって白濁したり青くなったりするのであろうか。
強酸性の湯は、やはり体にピリピリくる。
その刺激をあちこちで楽しめるのが草津なのだ。
源泉:地蔵源泉
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉 pH2.1
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津299(湯畑から徒歩5分程)
営業時間:8時~22時
料金:無料
2023年12月時点の情報
地蔵の湯を単独記事で投稿したものがこちら。ご覧ください。
3/18.千代の湯
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千代の湯は、湯畑からもほど近いロケーションのこじんまりとした共同湯だ。
地蔵の湯でも行っている温泉療法の「時間湯」を行っていることで有名だ。
源泉は、湯畑源泉なのでまさに湯畑のあの大量の湯がすぐに味わえる共同湯でもある。
浴槽は小さいが、天井が高く湯気抜きもしっかりと造られているので、空間はゆとりを感じる。
入浴可能な時間も長く、湯畑にも近いので立寄りやすい共同湯でもある。
18カ所も入浴が出来た頃は、他に湯畑源泉を引湯している魅力的な共同湯が多くあったので、自分の中ではお気に入り度が低かったのが正直なところだ。
しかし、3カ所しか外湯が入れなくなった現状としては、唯一湯畑源泉を無料で楽しめるという重要な外湯になった。
源泉:湯畑源泉
泉質:含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉 pH2.1
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津367-4(湯畑から徒歩1分程)
営業時間:5時~23時 ※時間湯は9:00、11:00、14:00、17:00の1日4回
料金:無料
2023年12月時点の情報
外湯めぐり2 【湯畑周辺の共同湯2】
4/18.関乃湯
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浴槽は変則的な5角形のもので、コンクリート造りの無骨なものだ。
そこに湯畑源泉の湯がドバドバかけ流されている。
浴槽が2人も入ればいっぱいの狭さなのだが、そこに大量の湯が注がれているので、常に浴槽の湯は新鮮であり、それが気持ち良さを倍増させているようだ。
源泉:湯畑源泉
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉 pH2.1
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津393(湯畑から徒歩3分程)
※一般入浴不可
2023年12月時点の情報
5/18.凪の湯(なぎのゆ)
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湯畑から西の河原通りを5分程進んで温泉饅頭を積極的に販売している右側店舗の横を右手に入って行った先にある共同湯。凪の湯から近いロケーションだ。
建物の左右に分かれた階段を下に降りる構造で、浴槽は半地下にある。
屋根自体は高くない建物だが、湯舟が半地下にあるので、広い空間を確保しているのが興味深い。
湯は西の河原源泉ということで、大変珍しい。外湯ではここだけであろうし、旅館などでもあまり聞いたことがない。なかなかレアな源泉を味わえる貴重な共同湯だ。
その湯だが、異常に熱い!草津はどこも熱い湯なのだが、とびきりこの湯は熱く感じた。
水道水のホースが長く伸びており、この水でかなり薄めないと入ることが出来ないほどだった。
湯は透明だ。
浴室は高い天井の湯気抜きからの明りなどはあるものの、薄暗いのであまり湯の色の特徴などは掴めない。
かなり熱い湯なので、狭い浴槽だと湯量を少なくし、かつ、大量の加水が必要なので、源泉の良さを感じにくくしてしまうのが残念だ。
やはり、西の河原露天風呂のように、広大な面積があれば、湯温を下げられるので、あの巨大さは必要なのであろう。
源泉:西の河原源泉
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
住所:群馬県吾妻郡草津町草津乙496(湯畑から徒歩5分程)
※一般入浴不可
2023年12月時点の情報
6/18.翁の湯(おきなのゆ)
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圧巻はドバドバと注がれる湯量だ。
蛇口からの湯量に伴い、大量の湯がかけ流されており、床には溢れて留まった状態の湯が浅い風呂状態になっていることだ。
さすが草津温泉だと感心する状態で、湯小屋自体は全く好みではないが、毎日入るのであれば、このような湯が良いのではと思うほどだ。
実際、地元の方には人気があるとのことだ。
源泉:湯畑源泉
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
住所:群馬県吾妻郡草津町草津468-4(湯畑から徒歩6分程)
※一般入浴不可
2023年12月時点の情報