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外湯めぐり4 【湯畑から東方の外湯】
11/18.煮川乃湯
湯畑から東に進み、千代の湯を越えてしばらくすると何とも魅力的な湯小屋に遭遇する。
それが煮川乃湯だ。
建物は、古典的な総木造りの湯小屋だ。
こじんまりとしているが、天井が高く、そこに立派な湯気抜きが設えられており、見事だ。
私の大好きなタイプの一つだ。
かなり昔に草津へスキーに行った際、近くの旅館を利用していたこともあり、この煮川乃湯にも立ち寄ったことがある。
その頃はあまり温泉に今ほど執着していなかったこともあり、単なる興味本位で立ち寄ったのだが、当時はまだ古い湯小屋であり、浴室も古びた造りで、非常に情緒豊かな雰囲気であったことを覚えている。
その時の写真は撮影しておらず、今となっては残念至極である。
久しぶりの訪問であるこの時は、既に湯小屋が改装されており、真新しい浴槽が眩しいくらいで、昔の面影は湯小屋の外観だけになってしまった。
もちろん、これは2008年当時の画像なので、今は良い感じになりつつあるのではないかと思う。
湯は煮川源泉を引湯しており、相当な激熱湯である。
前述の初訪問の際には、あまりの熱さで入浴を断念した程だ。
そのため、温泉マニアになった自分としては、何としても入浴しておかないといけない湯でもあるのだ。
と、意気込んだものの、かなり少し前に入浴されていた方のおかげで、それ程苦労せずに入浴出来たのはラッキーだ。
ユニークなのは、長野の渋温泉でよくあるタイプのように、湯口から小さい湯貯め槽に注ぎ込まれ、浴槽に繋がる樋の手前に湯量調整弁として木の札を差し込む仕組みとなっている。
熱い場合は、樋からほとんど流さずに、床に漏れていくようにするのだ。
水道は無いので、湯温を下げる即効性は無いが、泉質を保つための昔ながらの方法であり、かけ流し湯の王道だ。
天井はこのように抜けており、湯小屋自体は昔からのものをそのまま使用していることがわかった。
これは嬉しい。どうりで外観が渋みを帯びているはずだ。リニューアルはあくまでも浴室と脱衣所が対象であったようだ。浴室の木の壁と建物の木の色や質感が全く違うので、これらが融合するのが楽しみでもある。
源泉:煮川源泉
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津583(湯畑から歩いて約4分)
※一般入浴不可
2024年1月時点の情報
12/18.長寿の湯
長寿の湯は、湯畑から東方面に進み、千代の湯を越えてから左手の高台に進んだ住宅街の一角にある。
2007年にリニューアルしたそうで、私の訪問時はかなり真新しい状態であった。
見た目はかなり素朴な建物であるが、屋根の上に設置された湯気抜きが、湯小屋であることをしっかりと主張している。
浴室はコンクリート造りを基本として、湯舟の縁と壁の上部から天井にかけてが木造という、草津では多いタイプのものだ。
日本有数の酸性度を誇る草津温泉なので、浴室・浴槽を長持ちさせるためには、これが最適解なのであろうか?
私は、総木造り支持派なので、浴槽内も含めて木造りであって欲しいのだが、酸性であることの他に、湯温が高いので、コンクリート造りの方が湯温を下げやすいのだろうか?
草津温泉を巡っていると、そんな疑問にぶつかるのだ。
湯は湯畑源泉を引いており、やはり大量にかけ流されているのが心地よい。
建物の見た目の割に、天井が高いので、広く感じてゆったり出来る。
浴室自体は決して広くないのだが、湯舟が細長く、洗い場もそれなりのスペースが確保されているので、毎日立ち寄れる地域の方にとっては快適な湯であろう。
源泉:湯畑源泉
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津566-5(湯畑から徒歩7分程)
※一般入浴不可
2024年1月時点の情報
13/18.長栄の湯
湯畑から10分程離れた高台の公営住宅にある公民館内の温泉。
浴槽の反対側に、掛け湯と洗い場用の細長い湯桶が際立ってユニークだ。
他の外湯には見られない構造であり、驚くとともに感心した。
これなら、浴槽の横で泡立てしたり、湯をザブザブ汲んだりしなくて良いからだ。
湯に浸かる際は、静かにリラックスできるのが良い。
コンクリ造りの公民館の一角として温泉施設が存在しており、浴室は味気ないコンクリート造りだ。残念ながら壁や浴槽までもコンクリートなので風情のかけらも無い。天井も低く、温泉施設の構造としては残念なものではあるが、独立の洗い場があるだけで、かなり印象が変わるのが不思議だ。
さらに、こちらで引湯しているのが、万代鉱源泉だ。
草津で最も酸性度の高いpH1.5というとんでもない数値をたたき出している強酸性泉なのだ。
草津の湯畑源泉を始め、ほとんどの源泉がpH2.0程で、これはレモンと同じレベルなのだが、それを上回る酸性ということで、いかに凄いかがおわかり頂けるであろう。
つまり、体にピリピリくる刺激の強い温泉なのだ。
これ以上の強酸性の温泉は、あの秋田の玉川温泉(pH1.2)くらいであろうか。
大自然のパワーをこのような街中で体験できるのが素晴らしい。
もちろんアトピーなどの皮膚炎を始め、様々な効能があるので有難い温泉だ。
一般客が入浴出来ないのが本当に残念である。
源泉:万代鉱源泉
泉質:酸性・塩化物・硫酸塩泉 pH1.5
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津609(湯畑から徒歩10分程)
※一般入浴不可
2024年1月時点の情報
14/18.巽の湯(たつみのゆ)
巽の湯は湯畑からは徒歩約10分程東の大通り沿いにある外湯だ。
小奇麗な一般家屋といった風情の外観をしており、湯小屋といった感じではない。
脱衣所は思いのほか広く、浴室もまたゆったりとした広さがあり、草津温泉の外湯の中ではトップクラスの広さであろう。
浴槽自体も大きく、洗い場もたっぷりをスペースがとられているので、それなりに混雑しても不快な思いをせずに過ごせるのが良い。
外観とは裏腹に、湯小屋の屋根浦は広がりがあり、立派な梁とともに見ごたえがある。
浴室の床や壁の下部、浴槽の主体はコンクリート造り。浴槽の縁の上部と壁の上部は木製で、草津温泉外湯でよくあるパターンだ。
湯は、湯畑源泉を引いているが、湯畑から距離がそれなりにあることから、源泉温度が下がっており、湯畑近くの外湯よりも豪快にかけ流しすることが可能なようだ。
そのため、浴槽の縁全体から常に湯が溢れており、何とも贅沢な気分を味わうことが出来る。
湯温がかなり高い草津温泉では、加水せずに豪快なかけ流しが出来るのは貴重だ。
大いに気に入った湯である。
やはり湯畑源泉の湯の色は薄緑だ。陽の光が当たるとクリアな薄緑に輝き、夜の照明の下では、うっすらと緑色になっている。
このように湯自体が目を楽しませてくれるのも、温泉の楽しみの一つだ。
源泉:湯畑源泉
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津275-9(湯畑から徒歩10分程)
※一般入浴不可
2024年1月時点の情報