草津温泉　今はできない！18の外湯めぐり（後編）

湯畑から東に15分程歩いた住宅街にある外湯睦の湯。和風の建物に青と赤の「ゆ」の暖簾がかかっており、何とも良い雰囲気だ。屋根には湯気抜きがあり、素敵な湯小屋である。

中は思いのほか広く、浴室は真ん中に長方形のコンクリート造りの白い浴槽がシンプルに配置され、その３辺に洗い場があるため、かなりゆったりしている。
上を見ると、こも予想以上に天井が高く、開放感がある。

こちらの施設も、浴槽・床や壁の下部はコンクリート造りで、壁の上部と屋根が木製だ。浴槽の縁はそのままコンクリートという構成だ。
湯は透明だが、やはり湯畑源泉の特徴で、うっすらと緑色に見える。
画像のように日が差すと、薄緑に輝いて実に美しい。

湯畑源泉からの距離がかなりあるため、湯温がそれなりに下がっており、その分大量のかけ流しをしても適温を保てることはラッキーだ。
浴槽が広めなのも湯温を下げる効果があるものと思われる。
とにかく浴感が大変良い。
この湯に毎日浸かれる地元の方が羨ましい限りだ。

湯畑からは東に徒歩20分程の住宅街の中にある古びた公共浴場。
かなり年季が入った素朴な建物で、浴室や浴槽も時間の経過を感じさせる味わい深さを感じられる素敵なものだ。
入口横の壁の情報には、浴場建設寄付者の名前がびっしりと記載されている。公共浴場として、これはかなり珍しい。

浴槽はコンクリート造りで、床もコンクリートのシンプルな構造である。
壁の上部と屋根は木造で、立派な梁があるものの、極めて素朴な屋根がむき出しになっているだけのような構造。
草津温泉の外湯に多い立派な湯気抜きではない。

白い温泉成分がこびり付いた湯口となる蛇口からは、大量の湯が浴槽に注がれている。
その湯は、草津でも最も強酸性で熱い万代鉱源泉である。
ビシっとした熱さと、ピリピリする酸性の湯はかなり刺激的だ。

同じ通り沿いにある近隣の睦の湯は、湯畑源泉を引いており、源泉からの距離が離れていることから、湯自体は熱い強酸性であっても、幾分柔らかな湯ざわりになっていることから、この万代鉱源泉の湯と交互に入るなどするとさらに楽しめそうだ。
湯小屋自体にあまり魅力がなくとも、温泉は湯自体が極上だと満足度が高いのは云うまでもない。

この訪問は2008年だが、2024年現在ではすでにリニューアルも済んでいるらしい。
ネットで調べると小奇麗な湯小屋に生まれ変わっていた。浴室は典型的な草津の外湯といった感じだ。今もパンチの効いた湯を味わえるのだが、一般客はもう入れないのが残念だ。

湯畑から最も離れた場所にある公共浴場。
湯畑からは徒歩で20分強かかる国道沿いにある。
瀟洒な建物が湯小屋だ。
男女別の入口に大き目の「ゆ」の暖簾がかかり、湯抜きが設えられていることで入浴施設とわかる感じだ。張り出した囲いが建物中央部にあるので、露天風呂でもあるのかと思いきや、なんと坪庭だった。これは外湯としては非常に珍しい。
草津温泉の外湯ではここだけのものだ。

浴室は、基本的には草津の典型的な構造で、コンクリートの浴槽と床、壁の下部に浴槽の縁と壁の上部と天井が木製という構造だ。
しかし、ユニークなのが大きな窓が浴槽の真横についており、坪庭を望めるようになっていることだ。これは公共浴場らしくなく、どこか旅館の風呂に入っている感覚になる。

せっかくの大き目の窓だが、坪庭自体はあまり見るべき特徴がないのが残念だ。
雰囲気を味わうといった狙いかもしれないのだが。

さらにユニークなのが、廃湯の構造だ。
この画像のようなパイプが浴槽の縁の外側に設置され、湯が排出されている。
他の温泉地では見たことあるが、草津温泉の外湯ではここと躑躅の湯の2カ所だけのようだ。
この構造だと、浴槽の下部の湯やゴミなどを排出し易くなり、湯だまりの上部のかけ流しと併せて、合理的に浴槽内の湯を綺麗に保つことに繋がるのであろう。

引湯しているのは万代鉱源泉。草津でも随一の強酸性湯だ。
pH1.5のため、体にピリピリくる刺激的な湯で、日本でもトップクラスの酸っぱい湯だ。

湯畑から南へ約１ｋｍ、国道から少しそれた道沿いにある公共浴場。
私が訪問した2008年にはリニューアルしたばかりのようで、かなり真新しい造りだった。
何かの倉庫のような造りで、屋根の上の湯気抜きがなかったら温泉施設とは気づかないであろう素朴な建築物だ。

浴室の構造は、典型的な草津の外湯だ。
浴槽と床、壁の下部がコンクリート造り。
壁の上部から天井にかけて木造で、素朴な造りではあるのだが、立派な梁が交差しているのは見事だ。
外観からは想像のつかない広がりと木の温もりのある浴室で感心する。

浴槽は白く塗られているので、少し青みがかった湯が一層美しくみることができる。
また、こぶしの湯でみられた廃湯のパイプがここでもあったのがユニークだ。

湯は万代鉱源泉で、強酸性のピリピリ熱い刺激的な湯を広めの浴槽で満喫できる。
ザブンと浸かった際に、浴槽の縁から湯が溢れ出すのは、実に気持ち良い。
静かな環境の外湯で、天井の広がりを眺めながら入る熱い湯も至福の時だ。

陽が差し込むと、このように美しく浴室内が光り輝く。
このように素敵な外湯に一般客がもう入ることが出来ないのが残念でならない。